少年による強制性交等未遂の事案で保護観察処分を獲得
高校生の少年が,他校の生徒に声をかけ,公園で性交に及ぼうとした強制性交等未遂の事案です。
少年は自慰行為の経験がなく自室がないなどの影響もあり性的に未熟でした。
一方で,その未熟さから本件以外にも同級生の女子生徒の胸を触るなど余罪もあり,社会内処遇か少年院かがギリギリの事案でした。
まず,弁護士は少年に対し,性教育や性被害者の体験談の本を差し入れ,適切な性的知識を身につけさせるとともに,自己の非行の重大さを認識するよう指導を行いました。
両親に対しては,思春期の男児には自室や自宅で1人で過ごせる時間が必要であり,また家庭によっては性交や避妊など性的なことを両親が指導する場合もあることを伝え,改善点を考えるよう促しました。
その結果,家庭裁判所における調査官面談では,少年の性的な未熟さや両親の関わり方の不適切さが事件に相当程度影響したことがアピールでき,調査官は試験観察意見を述べるに至りました。
示談交渉では,被害者の両親から少年との接触禁止を具体的に担保してほしい旨の希望があり,今後の生活の際に立ち入り禁止エリアを具体的に策定して示談書に盛り込むことで示談が成立しました。
試験観察中は,性依存の治療期間であるSOMECに少年を通院させ,再犯防止への取り組みをアピールし,最終審判では保護観察処分を獲得することができました。
執筆者: 代表弁護士 中村勉
代表パートナー弁護士 中村 勉
代表パートナー弁護士である中村勉は,北海道函館市出身,中央大学法学部(渥美東洋教授の刑事訴訟法ゼミ),コロンビア大学ロースクールLLM(フルブライト ...
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