未成年の子供が不同意性交等など性犯罪で逮捕されたら – 少年事件に強い弁護士が不同意性交等など性犯罪の弁護活動や示談を詳しく解説
ある日突然、警察から「お子さんを不同意性交等の疑いで逮捕しました」という連絡が来たら、親御さんの動揺は計り知れないものです。「何かの間違いではないか」、「これからどうなってしまうのか」、「学校や将来への影響は?」といった不安が次々と頭を駆け巡ることでしょう。
少年事件は、成人の刑事事件とはその目的も手続も大きく異なります。成人の刑事手続が「応報(罰を与えること)」を重視するのに対し、少年法に基づく手続は「少年の健全な育成(保護)」を目的としているからです。
特に不同意性交等罪をはじめとする性犯罪は、被害者の尊厳を深く傷つける重大な事案であり、適切な初動対応が将来を左右します。
本記事では、少年の性犯罪事件に強い刑事事件弁護士が、不同意性交等罪の定義、少年事件の流れ、弁護士(付添人)が行うべき弁護活動、そして示談の重要性について、詳しく解説します。
不同意性交等罪とは何か? – 2023年刑法改正のポイント
2023年(令和5年)7月13日に施行された改正刑法により、従来の「強制性交等罪」や「準強制性交等罪」は統合され、新たに「不同意性交等罪」が創設されました。これにより、処罰の範囲が明確化されるとともに、事実上の厳罰化が進んでいます。
不同意性交等罪の成立要件
改正後の刑法177条1項によれば、以下の事由などにより、「同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態」にさせ、またはその状態に乗じて性交等を行った場合に成立します。
- 暴行若しくは脅迫を用いること
- 心身の障害を生じさせること
- アルコール若しくは薬物を摂取させること
- 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること
- 同意しない意思を形成、表明、全うするいとまがないこと
- 予想と異なる事態に直面させて恐怖、驚愕させること
- 虐待に起因する心理的反応を生じさせること
- 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力を利用すること
性交同意年齢の引き上げ
2023年の法改正で最も注目すべきは、性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられた点です。相手が16歳未満の場合、たとえ相手が「同意」していたとしても、不同意性交等罪が成立します。ただし、相手が13歳以上16歳未満の場合、行為者が相手より5歳以上年上でなければ処罰されません(つまり、同世代間の行為は除外されます)。
「少年」は20歳未満の者を指しますので、少年事件の場合、性交同意年齢との関係で、相手が同意していたとしても不同意性交等罪が成立するのは、
- 相手が13歳未満
- 少年が19歳、相手が13歳、14歳
- 少年が18歳、相手が13歳
の場合ということになります。
法定刑の重さ
不同意性交等罪の法定刑は「5年以上の有期拘禁刑」です。成人の場合、執行猶予は3年以下の拘禁刑にしか付かないため、原則として実刑判決となる非常に重い犯罪です。少年の場合でも、事案が重大であれば「逆送(検察官送致)」され、成人同様の刑事裁判を受けるおそれがあります。
統計に見る「少年の性犯罪」とは
近年の少年非行の状況を把握するために、警察庁が発表した統計数値(令和6年暫定値を含む)を確認しましょう。少年の刑法犯検挙人員は、令和4年を境に増加に転じています。
以下の表は、近年の刑法犯少年の検挙人員を年齢別にまとめたものです。
| 年次 | 総数 | 14歳 | 15歳 | 16歳 | 17歳 | 18歳 | 19歳 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和4年 | 14,887 | 1,859 | 2,386 | 3,003 | 2,915 | 2,451 | 2,273 |
| 令和5年 | 18,949 | 2,604 | 3,328 | 4,174 | 3,421 | 2,808 | 2,614 |
| 令和6年 | 21,762 | 2,912 | 3,922 | 4,871 | 4,138 | 3,179 | 2,740 |
| 増減率 | +14.8% | +11.8% | +17.8% | +16.7% | +21.0% | +13.2% | +4.8% |
出典: 令和6年における少年非行及び子供の性被害の状況 – 警察庁(https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/syonen/pdf_r6_syonenhikoujyokyo.pdf)
少年の包括罪種別・性犯罪検挙人員
「不同意性交等」の検挙人員も、令和5年の法改正以降、高い水準で推移しています。
| 罪種 | 令和5年 | 令和6年 | 増減数 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 凶悪犯(総数) | 606 | 838 | +232 | 38.3% |
| 不同意性交等 | 191 | 286 | +95 | 49.7% |
| 不同意わいせつ | 111 | 638 | +527 | 474.8% |
出典: 令和6年における少年非行及び子供の性被害の状況 – 警察庁(https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/syonen/pdf_r6_syonenhikoujyokyo.pdf)
※不同意性交等・不同意わいせつは、令和5年7月12日以前は強制性交等・強制わいせつ
少年の再非行者率(罪種別)
少年事件において最も懸念されるのが「再非行」です。統計上、凶悪犯の再非行率は依然として高い水準にあります。
| 罪種 | 検挙人員(令和6年) | うち再非行者 | 再非行者率 |
|---|---|---|---|
| 刑法犯全体 | 21,762 | 6,792 | 31.2% |
| 凶悪犯(不同意性交等含む) | 838 | 380 | 45.3% |
出典: 令和6年における少年非行及び子供の性被害の状況 – 警察庁(https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/syonen/pdf_r6_syonenhikoujyokyo.pdf)
少年事件の特殊な流れ – 逮捕から家庭裁判所へ
お子さんが逮捕された場合、手続は警察・検察による「捜査段階」と、家庭裁判所による「審判段階」の2段階に分かれます。
捜査段階 – 初動の72時間が勝負
逮捕後、警察は48時間以内に検察官に事件を送致(送検)し、検察官は24時間以内に勾留を請求するか判断します。この合計72時間の間は、原則として家族であっても面会(接見)ができません。唯一、立会人なしで自由に面会(接見)できるのは弁護士だけです。
弁護士は逮捕直後の接見で、少年に対し黙秘権の行使方法や不当な取調べへの対処法を助言します。また、検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを記した意見書を提出し、勾留の回避(早期釈放)を粘り強く働きかけます。
全件送致主義と家庭裁判所
成人の場合は、検察官の判断で「起訴猶予(不起訴)」にすることができますが、少年の場合は「全件送致主義」により、捜査の結果、犯罪の嫌疑があると判断された全ての事件が家庭裁判所に送られます。
観護措置と少年鑑別所
家庭裁判所に送致されると、裁判官は「観護措置」を決定することが多いです。これにより、少年は原則4週間(最大8週間)、少年鑑別所に収容されます。鑑別所では、心理学や教育学の専門家である法務技官によって、少年の資質や非行の原因が調査(鑑別)されます。
少年による性犯罪の類型とその特徴
法務省の特別調査によると、性犯罪者はその犯行態様によっていくつかの類型に分類され、それぞれに特徴があります。
単独強姦型(単独不同意性交等)
- 特徴: 29歳以下の若年層が約半数を占めます。
- 背景: 年齢の低い時期から、性犯罪に限らず一般的な非行・犯罪傾向(窃盗や粗暴犯など)が認められる者が多いです。再犯者の多くは性犯罪以外の犯罪を繰り返す傾向があります。
集団強姦型(集団不同意性交等)
- 特徴: 29歳以下の割合が約8割と、若年層に集中しています。
- 共犯率: 少年による凶悪犯の共犯率は約29.5%であり、成人(13.5%)に比べて著しく高いです。仲間内でのノリや悪ふざけがエスカレートして重大な事件に発展しやすいのが特徴です。
小児わいせつ型・小児強姦型
- 特徴: 被害者が13歳未満のケースです。インターネットの出会い系サイトなどを通じて知り合う事例が約半数を占めます。
- 再犯性: 他の類型に比べて、同一類型の性犯罪を繰り返す割合が高いという問題があります。
少年事件における弁護士(付添人)の役割
家庭裁判所へ送致された後、弁護士は「付添人」という立場になります。付添人の役割は、単に事実を争うことだけではありません。
少年の内省を促す
少年は精神的に未熟であり、自らの過ちを客観的に見つめることが困難な場合があります。付添人は、鑑別所での面会を繰り返し、少年と一緒に「なぜ事件を起こしてしまったのか」、「被害者はどのような痛みを感じているか」を深く考えます。この内省の深さが、最終的な処分の決定に直結します。
家庭裁判所調査官への働きかけ
少年事件では、裁判官に処分の意見を出す「家庭裁判所調査官」の存在が非常に大きいです。付添人は調査官と密に連携し、少年の家庭環境の改善状況や、本人がどれほど深く反省しているかを客観的に伝え、不当に重い処分を避けるための「環境調整」を行います。
性障害治療とカウンセリング
盗撮や不同意わいせつなどを繰り返してしまう少年の中には、「性依存症(窃視障害)」などの問題を抱えている場合があります。当事務所では、目先の処分を軽くするだけでなく、真の更生のために専門のクリニックへの通院をサポートしています。治療の実績を裁判所に示すことで、「社会内での更生が可能である」と説得できる可能性が高まります。
不同意性交等罪における示談の重要性
少年事件においても、被害者との示談(被害弁償と謝罪)は、処分を決める上で極めて重要な要素です。
なぜ示談が必要なのか?
示談が成立し、被害者から「許す(宥恕)」という言葉を得ることができれば、少年が自らの行為と真剣に向き合った証拠として評価されやすくなります。その結果、要保護性が解消されたと判断され、社会内での更生が可能であると認められる可能性が高まります。
また、成人でいう不起訴に相当する「不処分」や、比較的軽い処分である「保護観察」を目指すうえでも、示談の成立は極めて重要な材料となります。さらに、示談をまとめておくことで、将来的に高額な損害賠償を求める民事訴訟を起こされるリスクを、あらかじめ回避することにもつながります。
示談交渉における弁護士の役割とは
一方で、不同意性交等事件の被害者は、加害者本人だけでなく、その家族に対しても強い恐怖心や嫌悪感を抱いていることが少なくありません。そのため、家族が直接被害者に連絡を取ろうとすると、警察から証拠隠滅や被害者への威迫と受け取られ、結果として逮捕や勾留が長引く原因になるおそれがあります。
また、捜査機関は原則として家族に被害者の連絡先を教えることはありませんが、弁護士が代理人として動く場合に限り、連絡先を開示してもらえるケースが多く見られます。このような理由から、示談交渉は弁護士を介して進めるべきです。
「特定少年(18歳・19歳)」に関する特例と厳罰化
2022年4月の少年法改正により、18歳と19歳は「特定少年」と位置づけられることになりました。これにより、従来の少年事件とは異なる、より厳格な取り扱いがなされるようになっています。
具体的には、以前であれば強盗や放火といった重大事件であっても、原則として家庭裁判所での保護処分に付されていましたが、特定少年が不同意性交等や強盗など、短期1年以上の拘禁刑に相当する罪を犯した場合には、原則として検察官に送致される、いわゆる「逆送」の対象となります。
また、事件が起訴された段階で、氏名や顔写真などを含む実名報道や推知報道が解禁される点も大きな特徴です。さらに、処分を決定する際には、これまで重視されてきた教育的観点に加え、犯行の悪質さや結果の重大性といった「犯情の軽重」が、より強く考慮されるようになりました。
当事務所の少年事件の不同意性交等・性犯罪事案の解決実績<
当事務所は、これまで数多くの少年の不同意性交等・性犯罪事案を解決してきました。一部をご紹介します。
性犯罪4件の事案にもかかわらず少年院送致を回避し「保護観察」を獲得
高校生の少年が、見ず知らずの被害者に対し、屋外でわいせつ行為をしたとして、準強制性交等罪など全4件で逮捕された事案です。
性非行の根深さが懸念されたため、捜査段階から性嗜好障害専門クリニックと連携。審判では、「少年院のプログラムよりも民間専門機関の治療の方が充実している」こと、両親の監護能力が十分であることを強く主張しました。
成人であれば実刑、少年でも少年院送致の可能性が高いされる事案でしたが、治療環境の整備が評価され、保護観察処分を獲得しました。
集団による不同意性交等事件で、逆送・少年院送致を回避し「保護観察」を獲得
少年が共犯者と共に、街頭でナンパした同年代少女に対し、口実をつけてホテルに連れ込み、性的暴行に及んだ集団による不同意性交等の事案です。
まず、示談の獲得が必須の事案でしたので、共犯者の弁護人と連携を取り、被害者側に対して真摯に謝罪の意思を示すことで、示談を成立させました。
少年の更生に向けては、彼に性的経験が乏しく、相手の同意を確認する方法やその重要性を正しく認識できていなかったという背景に注目しました。少年鑑別所での収容期間中、付添人は少年と面会を重ね、事件当時の認識の誤りや被害者の苦痛について共に考えることで、深い内省を促す活動を行いました。
家庭裁判所の調査官からは、当初「性非行の重大性から少年院送致が相当」とする厳しい意見が出されました。しかし、その後も裁判官に対する説得を行った結果裁判所に付添人の主張が認められ、少年院送致を免れて保護観察処分を勝ち取ることができました。
大学サークル合宿中のわいせつ否認事件で「不処分」を獲得
大学のサークル合宿中、後輩女子学生にわいせつな行為を行ったとして逮捕された事案です。少年は「同意があった」と容疑を否認していました。
付添人は現場にいた他の部員から入念な聞き取りを行い、被害者が少年に向けていた言動や事件前後のやり取りを精査し、不同意を認識していたとは言い難い客観的な状況を証明しました。
結果として、裁判官との面談で故意がないことが認められ、「非行なし」を理由とした不処分決定を勝ち取りました。
少年や未成年による不同意性交等・性犯罪事案に関するよくあるご質問
逮捕されてから何日間くらい帰ってこれないのでしょうか?
逮捕から勾留決定まで最大72時間拘束されます。さらに勾留されると最大20日間、家庭裁判所に送致されて観護措置がとられるとさらに約4週間、合計で約2ヶ月近く拘束される可能性があります。
不同意性交等罪でも示談すれば前科はつきませんか?
20歳未満の少年の場合、家庭裁判所で「保護処分」を受ければ、それは前科にはならず「前歴」となります。ただし、18歳以上の特定少年が逆送され刑事裁判で有罪となった場合は、成人同様に前科がつきます。
子供が「相手も同意していた」と言っています。どうすればいいですか?
性犯罪では「同意の有無」が最大の争点になります。警察の誘導で不本意な自白調書を作成されないよう、すぐに弁護士を呼び、客観的な証拠(LINEのやり取りや現場状況)を整理し、取調べ対応の指導を受ける必要があります。
示談金の相場はどれくらいですか?
不同意性交等の場合、100万円~500万円と非常に幅広いです。被害者の年齢や行為の悪質さ、精神的苦痛の程度などで大きく変わります。
学校に知られずに解決することは可能ですか?
「警察・学校相互連絡制度」により、逮捕された段階で学校に連絡が行くのが原則です。しかし、弁護士が警察と交渉し、更生への悪影響を理由に通知を控えるよう働きかけることで、回避できるケースもあります。
少年鑑別所に入ったら退学になってしまいますか?
鑑別所への収容そのものが直ちに退学事由になるとは限りません。付添人が学校側と交渉し、「現在は調査中であり、更生の可能性が高い」ことを伝えて処分を待ってもらうよう働きかけます。
性犯罪を繰り返してしまうのですが、治りますか?
性依存症(窃視障害など)は病気であり、専門の認知行動療法やカウンセリングによってコントロールが可能です。当事務所では専門クリニックへの通院支援を行っています。
子供がパパ活をして捕まりました。親の責任は?
日本では子供の犯罪について親が刑事罰を受けることはありません。ただし、民事上の賠償責任を問われたり、少年審判で「監督責任の甘さ」を厳しく指摘されたりすることはあります。
ご家族へのメッセージ – 大切なのは「未来のための初動」です
お子さんが性犯罪事件に関わってしまったとき、親として最も重要な役割は「子供の味方であり続けること」です。
刑事事件はスピードが命です。逮捕後の数日間で「釈放されるか、長期間拘束されるか」が決まり、数週間で「少年院か、社会内更生か」が決まります。特に不同意性交等罪のような重大事件では、専門的な知識と豊富な経験を持つ弁護士の介入なしには、取り返しのつかない結果を招きかねません。
当事務所では、数多くの少年性犯罪事件を解決に導いてきた実績があります。お子さんが二度と同じ過ちを繰り返さず、前を向いて歩き出せるよう、私たちは全力でサポートいたします。


