少年事件を起こしたら弁護士を付けるべき?弁護人や付添人の役割とは

少年事件を起こしたら弁護士を付けるべき?弁護人や付添人の役割とは

 「我が子が少年事件を起こした」「弁護士を付けた方がいいのか」等のお悩みを抱えていらっしゃいませんか。
 今回は,少年事件を起こしたら弁護士を付けるべきか,弁護人や付添人の役割などについて解説します。

弁護人・付添人・弁護士の違い

 三者とも少年事件において少年のために活動するものですが,厳密には以下の違いがあります。
 弁護人と付添人の違いは時期にあります。

  • 弁護人は,捜査開始後から家庭裁判所送致までの間
  • 付添人は,家庭裁判所送致から審判までの間

 これに対して,弁護士とは,司法試験に合格し,その後司法修習を終える等し,弁護士として登録されている者をいいます。刑事事件及び少年事件では,ごく一部の例外(裁判所の許可がある等の場合)を除き,原則として弁護士が弁護人・付添人となります。
 では,なぜ弁護士を付けるべきなのでしょうか。

弁護士を付けるべき6個の理由

 弁護士を付けるべき理由は主に以下の6つがあります。以下,順に解説します。

  • 違法不当な取調べに対する弁護活動
  • 早期の身柄解放に向けた弁護活動
  • より柔軟な接見・差入れの対応
  • 家庭裁判所送致の回避活動(冤罪の場合)
  • より軽い処分に向けた活動
  • 審判に向けた万全の対策
  • 示談活動

違法不当な取調べに対する弁護活動

 事案によっては,事実無根の冤罪であるにもかかわらず,虚偽の自白を強要するような威圧的な取調べが今なお現存するのが実情です。
 そして,突然の逮捕等に動揺した未成年の少年がこのような威圧的な取調べを受けた際,往々にして圧力に屈してしまい,「私がやりました」等の虚偽の自白を述べてしまう場合があります。
 このような虚偽の自白を内容とする調書を作成されてしまうと,後の審判などでの重要な証拠とされかねません。このような違法不当な取調べに対しては,弁護人が日々の接見の中でアドバイスや意見申立などの的確な弁護活動を行うことで,予め,少年に生じ得る様々な不利益を除去・軽減することが重要となります。

早期の身柄解放に向けた弁護活動

 弁護士を付けることで,様々な身柄拘束からの早期の解放を目指すことが可能となります。
 具体的には,事案に応じ,予め弁護士が必要な弁護活動や意見書提出等を行うことで,検察官による勾留請求の回避や裁判所による勾留決定の回避(勾留請求却下)を求めることが可能となります。これらの請求が認められればその時点で身柄が解放されます。
 こうした早期の身柄解放に向けた弁護活動もタイミングを逸さず,的確な知見に基づく効果的な弁護活動が非常に重要となります。

より柔軟な接見・差入れの対応

 また,弁護士を付けることで,身柄を拘束されてしまった少年との面会(接見)や差入れへより柔軟に対応することも可能となります。
 例えば,留置施設への家族による面会は,日時に厳しい制限が課せられています。基本的には,平日日中のみ1回15分~20分程度,1日1組を上限とする等です。また家族による差入れも,基本的には平日日中のみです。
 これに対し,弁護人による接見には日時の制限はありません。そのため,事件によっては土日祝日を問わず連日接見し,日々の取調べに対するアドバイスや弁護活動を行いつつ,家族の希望等に応じた差入れや家族との必要な連絡を取り次ぐこともできるのです。

家庭裁判所送致の回避活動(主に冤罪の場合)

 全くの事実無根による冤罪である場合には,弁護人を通じて,捜査機関に対し,家庭裁判所へ送致される前から交渉や意見書提出などの弁護活動を重ねることで,家裁送致の回避を目指すことが可能となります。
 もっとも,少年事件における大原則は全件送致送致主義であり,少年本人が犯人である可能性が相当認められるようなケースではまず回避困難といえます。そのため,どのような事件であれば家庭裁判所送致の回避の可能性があるかという見極めが重要となります。
 そして,事案を的確に見極めるためには,少年事件の豊富な経験と知見に基づいた的確な弁護士の力量が必要となるのです。

より軽い処分に向けた活動

 また,犯罪を行ったこと自体は争わないとしても,その後反省を深めたり,家庭環境や通学 状況・就業状況等を改善し,今後の更生策を具体的に検討することで,より軽い処分の獲得を目指すことが可能となります。具体的な活動内容は,次項の「審判に向けた活動」にて解説します。

審判に向けた万全の対策(付添人段階)

 少年事件専門の弁護士を付けることにより,審判当日の抜け目ない質問に向けたリハーサルを重ねることはもちろん,審判に向けた活動を早期に開始することができます。
 具体的には,遡って捜査段階という事件の初期の段階から,効果的に少年との対話を進め,環境調整や裁判所との交渉を行うことが可能となります。例えば以下のような活動を行います。

  • 勾留施設や少年鑑別所への接見等において少年との対話を重ね,事件に関する考察や被害者の気持ちなどを共に考えること等を通じて,内省を促し,多角的な観点から深める活動
  • 学校,就職先,福祉施設等の関係機関と密に連絡や交渉を行い,退学や退職の回避を目指したり,福祉施設等への通所や入所の計画を策定・具体化する活動
  • 審判当日に向けた様々なシュミレーションやリハーサル
  • 審判当日の進行予定について,予め裁判所や調査官等に対し面談等を申し入れることによる,少年にとり最適な遂行方法の提案・交渉
  • 審判当日の付添人から少年や保護者への質問

 とりわけ,付添人から少年へどのタイミングで・どの程度を質問するかは,審判の前に予め,付添人が,裁判所や裁判所調査官,少年本人らとの間で綿密に打ち合わせておく必要があり,弁護士の力量が問われる部分ともいえます。

示談活動

 信頼できる弁護士を付けることは,示談交渉の可能性を開くことにもなります。

示談交渉の必要性

 そもそも「少年事件において示談は必要なのか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに,成年事件と比較すると,示談をしたからといって必ずしも審判回避や処分減軽となるわけではありません。
 ですが,少年事件においても,示談や示談交渉は重要と言えます。すなわち,少年法の精神は,少年の更生を考える保護主義思想(少年法1条)にあり,審判においては,「性格の矯正」の可能性や「環境の調整」の程度等(少年法1条)といった再非行可能性に関する点が重視されます。
 そして,示談を試みる場合,示談を申し入れるための準備や交渉の過程において,被害者側と真摯,誠実に向き合うことが必要となります。
 このような被害者側と真摯に向き合う過程の中で,少年は,被害者側の立場に立ってその心情を慮るというプロセスを辿ることになり,これは,まさに少年の更生を促す貴重な機会となるのです。
 また,少年が被害者に対して真摯・誠実な謝罪の姿勢を示すことができれば,過去の自分の行為を悔い改めることができる可塑性に富んでいると評価され,再非行の可能性の低下,ひいては,少年審判においても有利な事情として,より軽い処分の獲得などを目指すことができるといえます。
 そのため,少年事件においても,加害者側は被害者側との示談をまずは試み,可能性があるのであれば示談の成立させることを目指すべきといえます。

弁護士を選任する必要性

 もっとも,中には「示談交渉は自分たちでできるから弁護人はいらない」と考える方もおられるかもしれません。
 ですが,紛争解決の点から言えば,まずは弁護士に相談するのが最良といえます。被害者やその家族からすれば,事件を起こした犯人とは恐怖の存在であるため,犯人側からの直接の謝罪をそのまま受け入れるということは通常困難です。そのため,第三者の介入が必要不可欠となります。
 とりわけ,少年事件では,少年の真摯な反省の内容を正確に伝達すること,しかし決して被害者側に失礼のないように臨機応援かつ真摯に対応する技術が必要となります。
 したがって,少年事件での示談を検討する場合には,そのような知見や経験が豊富である少 年事件の専門性の高い弁護士に相談することが望ましいのです。

まとめ

 以上,少年事件が起きたら弁護士を付けるべき理由などについて解説しました。
 当事務所は,元検事の弁護士らによる豊富な経験と知見に基づき,少年事件の実績の多数ある少年事件・刑事専門の法律事務所です。少しでもお困りの事がありましたらぜひ勇気を出してご相談ください。

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