少年事件を起こしたら少年院に行くのか?審判結果の3種類について

少年事件を起こしたら少年院に行くのか?審判結果の3種類について

 「少年事件を起こしたら少年院に行くのか」「少年院に行くのはどんなときか」「少年審判って何をするのか」などの疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
 今回は,少年事件を起こしたら少年院に行くのか,少年審判の流れや審判結果の3種類等について解説します。

少年審判とは

 少年審判とは,本当に非行を犯したかどうかを確認した上で,非行の内容や少年の抱える個別の問題性に応じた適切な処分を決定する手続をいいます。
 少年審判の目的は,少年の更生を考える保護主義思想(少年法1条)に照らし,罪を犯した少年らにその過ちの自覚を促すとともに,更生させることを目的としています。
 このような目的にあることから,公開法廷で行われる刑事裁判と異なり,少年審判は原則非公開で行われます。

事件発生から少年審判までの一般的な流れ

 事件発生から少年審判までの一般的な流れは以下の通りです。
 事件発生(警察官及び検察官による取調べ等)⇒検察官による家庭裁判所への事件送致(全件送致主義)⇒事案に応じた観護措置(少年鑑別所へ身柄移送)⇒少年審判

少年審判への主な出席者

 少年審判の当日に少年審判に出席するのは主に以下の通りです。

  • 裁判官
  • 裁判所調査官
  • 裁判所書記官
  • 裁判所事務官
  • 少年
  • 保護者
  • 付添人(多くは弁護士)
  • ※検察官(事実認定のため必要な場合等には出席するケースがあります)

少年審判当日の流れ

 審判の時間は様々ですが,非行事実に争いのない事件であれば,通常は1時間程度です。

人定質問と黙秘権告知

 人定質問とは,手続の冒頭に行われる裁判官による質問です。裁判官が少年に名前や住所などを聞いて本人確認をします。
 その後,裁判官による黙秘権告知が行われます。黙秘権告知とは,成年事件と同様,言いたくないことは言わなくてもよいという権利をいいます。

非行事実の告知と意見陳述

 次に,裁判官が審判で審理する非行事実を少年に告げます。そして,非行事実に間違いがないかどうかを少年に確認します。
 この時,少年の付添人も意見を求められます。説明の難しい事項や法的専門性の高い事項等については,付添人が裁判官に伝える場合が多いです。

裁判官から少年への質問

 事件の内容にもよりますが,一般的には,初めに事件そのものについての質問がなされます。その後,事件の周辺に関する質問もなされます。
 具体的には,少年の事件前後の生活,事件に至る経緯や動機を少年がどのように理解しているか,被害者のことを少年がどのように捉えているか,審判後どのような生活を送っているか等です。
 このような質問により,少年の更生がどの程度図られているか,今後の要保護性がどの程度か等を確認していくのです。

付添人から少年へ質問

 事件の内容や少年の性格・能力等によっては,裁判官からの質問前後に,付添人から少年に質問し,予め事件の全体像や少年の反省の程度等を審判に顕出する場合があります。
 このような付添人のサポートによって,少年は安心して事件に対する自分のこれまでの反省の程度や被害者への思い等を述べることができます。
 裁判所としても,少年の緊張を和らげ,少年との対話をより深める手掛かりとなり得ます。
 付添人から少年へどのタイミングで質問するかは,審判の前に予め,付添人(多くは弁護人)が,裁判所や裁判所調査官,少年本人らとの間で綿密に打ち合わせておく必要があります。

裁判所から保護者へ質問

 裁判官は少年の保護者に対しても質問します。
 少年の審判までの様子や,保護者として考える事件の動機や背景,少年の今後などについて保護者としてどう考えているかなどが聞かれます。

最終陳述

 最後に,裁判官から少年に対して,最後に言っておきたいことがないか聞かれます。
 この最終陳述が,処分の言い渡しの前に少年が発言できる最後の機会となります。

決定の告知

 決定には,次に述べるように,主に3種類あります(保護観察,少年院送致,不処分)。
 また,その他にも様々な決定があるので,順番に説明いたします。

審判結果の主な3種類

保護観察決定

 保護観察決定とは,いわゆる少年院などの施設へは入所させません。
 社会の中で生活させながら,保護観察官や保護司が指導監督を行うことで,少年の改善更生を図ることが相当と認められたときにされる決定です。

少年院送致決定

 少年院送致決定とは,いわゆる少年院へ行く処分です。
 再非行を犯すおそれが強く,社会内での更生が難しい等と判断された場合に,少年院に収容され,矯正教育を受けることになります。

不処分・審判不開始決定

 不処分とは,当該事件については処分をしないことをいいます。具体的には,調査,審判等における様々な教育的な働きかけにより,少年に再非行のおそれがないと認められた場合になされます。
 また,そもそも少年が非行を行ったとは認められなかった場合にも,少年を処分しない決定がされます。
 審判不開始とは,軽微な事件であって 調査等における教育的な働きかけによって再非行のおそれがないと認められた場合などに行われるものです。具体的には,調査のみを行って審判を開かずに事件が終了となります。

審判のその他の流れ

試験観察

 少年に対する処分を直ちに決めることが困難な場合に,当分の間,少年の生活ぶりや行動を観察するものです。
 この試験観察の期間は,家庭裁判所調査官が様々な助言や指導を行ったり,付添人が少年とともに計画書を立案し遂行する等,社会内での更生を可能とするための環境整備等を進めていきます。
 そして,裁判所は,この試験観察期間の結果もふまえて,最終処分を決めるための審判を後日に再度開き,最終的な処分が決定されます。

児童自立支援施設等送致決定

 少年が低年齢層である場合になされることのある決定です。
 少年院と比較すると開放的な福祉施設での生活指導が相当であると判断された場合,少年院ではなく,児童自立支援施設等に送致するという決定がなされることがあります。

検察官送致決定

 いわゆる「逆送」です。少年審判による保護処分ではなく刑事裁判に基づく刑事処分が相当であると判断された場合に行われます。具体的には,事件の内容, 性格,非行歴,心の成熟度,更生可能性などから判断されます。
 また,調査の結果少年が20歳以上であることが判明したときだけでなく,調査過程の間に少年が20歳以上となった場合等にもこの決定がなされます。そのため,付添人(弁護人)としては,少年の20歳の誕生日が切迫している場合には,早期に少年審判期日を設定するよう,捜査段階から捜査機関や裁判所と交渉等の付添人活動(弁護活動)を展開することが重要となります。

知事又は児童相談所長送致決定

 18歳未満の少年について,児童福祉機関の指導にゆだねるのが相当であると判断される決定です。

まとめ

 以上,少年審判までの流れや,少年審判の内容,結果などについて解説しました。
 どの段階でも付添人(弁護人)のなすべき付添人活動(弁護活動)があり,それぞれの活動は,少年事件に関する豊富な経験と知見に基づき,的確に遂行していくことが重要となります。

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